知的財産(IP)は、ハイテク企業にとってまさに企業存続の根幹をなすものだ。特にIBMとヒューレット・パッカード(HP)を見ると、IP戦略の重要性が浮き彫りにされる。 ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載されたIFI特許インテリジェンスの調査結果によると、IBMが2008年に取得した特許数は4186件で、2007年の3125件から大幅に増加した。同社が技術特許取得件数で首位となるのは、これで16年連続となる。年間に4000を超えたのはIBMが史上初。 ★2008年の特許取得件数番付上位30社 順位 社名 取得件数 順位 社名 取得件数 1 IBM 4186 2 サムスン電子 3515 3 キヤノン 2114 4 マイクロソフト 2030 5 インテル 1776 6 パナソニック 1745 7 東芝 1609 8 富士通 1494 9 ソニー 1485 10 HP 1424 11 日立 1313 12 マイクロン 1250 13 セイコー・エプソン 1229 14 GE 912 15 富士フイルム 869 一方、2008年におけるHPの特許獲得件数は、2007年の1466件から1424件に減少。2007年には特許獲得数で9位だったが、昨年は10位に後退した。 ただ、HPは現在、技術特許の獲得件数を戦略的に制限している。同社はかつて、技術特許の獲得でIBMを追随し、2005年には取得件数で3番手に位置していた。しかし、マーク・ハード氏が最高経営責任者(CEO)に就任してからは、HPは戦略として特許申請数を抑え始めたのだ。 ハード氏は、HPの再編を進める中で、特許取得にかかる時間と費用の節減するとともに、「特許の取得件数」ではなく「特許の内容」に重点を移した。その結果、HPは、根幹事業に関連した幅広い分野での特許を取得するようになっている。 女性CEOとして名を馳せたカーリー・フィオリーナ氏の時代、HPは技術革新の先鋒としての地位向上に躍起となっていた。しかし、ハードCEOは、短期での財務改善に焦点を絞り、特許戦略を変えた。また、同社は、新技術の特許取得を申請しないことによって、その技術を非公開にしているという指摘もある。 |