忍者ブログ
Beautifulな(美しい・素敵な・感動する)もの、Music、Book、Art、iPhoneで非日常な日々を過ごしましょう★2010 Copyright (C) tafarocks All Rights Reserved.
28 . November
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

25 . October
歯は全部差し歯

ある歌姫はすべて差し歯。しかも普通の差し歯だけではなく、顎がスムーズに動くように強制装置まで口に入れている。昔から歌が非常にうまく、村の人気者であったが、なぜか非常に歯が弱く、なくなってしまった。現代のような入れ歯というものはなく、一本一本差し歯で補うことしかできなかった。

しかしその歌姫には誰にも負けない、そして人々を感動に巻き込むことができる才能を持っていた。それは、声が感動的に天才的にビューティーボイスであり、小さな頃から声楽隊で村を魅了してきたのである。

今日は、私に歯を、差し歯を与えてくれ、再び歌う喜びをおしえてくれた村一番の博士のために、歌いたい。そんな重要な時であった。練習をかさねるが、歯がおちてしまう。それは博士の意とは裏腹に自分で無理やりつけた、顎強制装置のせいであった。今日も、練習の最中、歯が落ちてしまう。そして絶望。

博士から絶対に使ってはいけないといわれていた、顎強制装置。しかし今日は特別な日、彼女はそれでも再び歌い、村をそして博士を喜ばせたかった。彼女の歌は、みんなの希望を奏でる。彼女自身は、無理をしてでも再び村を沸きお越したい、そんな気持ちで装置をつけ、そして歯がおちる。

コンサートがある今日、博士は急に様態を崩し、倒れてしまった。もう長くはないようだ、コンサートで綺麗な歌声が聴けるのも今日で最後だろう、とのこと。歌姫は、無理をして強制装置を再び装着し、練習し、そしてそれはこわれた、歯は全てボロボロになり、装置も全て壊れてしまった。博士に、「何故わしの言うことがわからんか!」と、涙しながらに怒られた。博士は更に様態を崩してしまい、コンサートは生では聴けなくなってしまった。

「彼女はいつの間にか、自分自身に変わっていた。」そう、僕自身に。

私は博士を悲しませたくない一心、もう歌う必要がなくなったと落胆した。しかし、博士の最後のために、再び歌いたいと願い、 ぼろぼろになった歯と、強制装置を泣きじゃくりながら全て拾い上げ、すべてが元通りに直らなくとも、なんとか歌いたい。大粒の涙を流しながら、鏡で見る悲惨な自画像を見ながら、拾い続けた。

私はコンサート直前に、練習をかさね、とれそうな差し歯と、がくがくする顎のまま、歌い続けた。なんとか歌える状態である。歯がすべて、なくなる感覚と落胆感。博士の期待に背いてでも、歌いたい、聞かせたい願望。

後はどうでもいい、なんとかなる!今をやり遂げる、重要である確信を持って、歌うことを決心した、そんな物語である。
覚醒

--
From TAFAROCKS★

PR
NAME
TITLE
TEXT COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事にトラックバックする:
RSS登録すると自動配信で便利だよ

Translate
上*Web検索 下*ブログ内検索
最新記事
(03/20)
(09/11)
(06/25)
(06/23)
(06/19)
(06/19)
(06/18)
(06/18)
(06/18)
(06/15)
(06/07)
(05/31)
(05/29)
(05/24)
(05/21)
(05/21)
(05/21)
(05/15)
(05/15)
(05/14)
Google Adsense
お気に入りメディア倉庫
test
My Profile
HN:
tafarocks
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1980/09/17
職業:
IT Evangelist
趣味:
多趣味
Tweet
Powered by NINJA BLOG  Designed by PLP
忍者ブログ / [PR]