また今日も株式市場は総崩れ。Googleも例外ではなく、同社株は午前の取引きでやや反発したものの、現時点での取引価格は前日終値$329を割り込んでいる。
この価格水準は実はグーグル社員が注視して見守るキーポイントで、彼らが抱える膨大なストックオプション(全社に170万株分ある)は加重平均行使価格$329.78で付与されたものなので、それを割り込むとオプションは価値ナシの紙くずになってしまうのだ(=市場より安く買える権利の旨みがゼロになる)。同社にはこれとは別に、加重平均行使価格$450以上で付与されたオプションが570万株分ある(下表参照)。要するに、グーグルが社員に支給したストックオプションの61%は現在、水没中というわけだ。
残りのグーグルのストックオプションは平均行使価格$275、$177、$21(IPO前の社員のもの。彼らはそれほど心配ない)で紙くずになる。尚、以上の数値はすべてグーグルの第2四半期10-Qから拾ったものであり、第3四半期に支給されたオプションは1株も勘定に含めていない(グーグル第3四半期決算報告は来週に予定されている)。
思えば、たった8日前にはグーグル株は1株$411、3ヶ月前は$450を上回る水準で取引きされていた。この間にペーパー上の富が大量に消え、それとともに、最近入社組の社員の多くは会社に残るインセンティブを失った。もちろん株価が持ち直したら全てまた元通りhonky dory(横須賀本町通りから派生した英語。“万事絶好調”の意)に戻るだろう。でも仮に株式市場の残り部分もろともグーグルの時価総額のファンダメンタル(土台)がリセットされてるのだとしたら今後数ヶ月は深刻な社員繋ぎ止め問題に直面する可能性も。無料の社食と通勤が社員の活力になることは確かだが、実際どうよ。ストックオプションに財形の旨みがなくなったら、グーグル社員だって他の会社に目移りし始めるのではないか。
株価が回復しなかったら、その危険が考えられる。他方、もし仮に経済が本当に不況スパイラルに突入しており、新規スタートアップに出す資本が枯渇しているのだとしたら、不満を抱えるグーグル社員にしたところで他に行く当てがない話になる。